業界が広く打ち出している「防災月間」も9月で終了。

とはいえ、防災は一年中意識していきたいこと!
命に関わるのはもちろん、QOL(生活の質)を高め、保つことにもなるからです。

大橋運輸(愛知県瀬戸市西松山町)の営業担当を務める、園田 昭さんは2020年1月に入社したばかり。

新しく業界に入ったからこそ感じた住まいの防災について、そして、一般の方とプロの視点の違いを伺いました。

防災月間に、タンス1棹2,000円にて引き取りキャンペーンを実施

タンスを運ぶ業者

引用元:https://www.photo-ac.com/profile/1020715

--「御社では防災月間の9月1日~13日の約2週間、キャンペーンをされていたそうですね」

園田さん(以下敬称略)「はい。弊社は瀬戸市にあるのですが、瀬戸市内ならタンス1棹2,000円、尾張旭市内なら2,800円で計3点まで引き取るというキャンペーンです。
昨年から実施し、今後も恒例にしていく予定です」

--「1棹2,000円というのは、通常よりかなりオトクなのでしょうか?」

園田「お客様にもよく訊かれたご質問です。こちら通常家や部屋ごとでお見積りするので『いくらオトク』という数字は出せないのですが、食器棚でも本棚でも何でも、どの部屋からの運搬でも一律なので、気軽かつ値打ちになっているかと思います」

--「確かに『このタンスだけを持っていって欲しい…』というケースがありそうです」

園田「まさにそこなんです。
特に今年はコロナ自粛中に断捨離®をされ、タンスが丸ごと空いてしまったという方も多かったですね」

--「なるほど。実際の作業の流れを教えていただけますか?」

園田「お電話をいただいてお宅に伺い、お見積りと作業日時を決めます。
その後作業に伺うというシンプルな流れです」

--「必ず直接訪問されるのは、御社の通常業務と全く同じですね。
『何でもどこでも一律』ということですが、空かずの間や入り組んだ奥の部屋からでもいいんですか?」

園田「ええ。ただし、階段から降ろすのが難しい場合は、吊る作業がいるので別料金になります」

--「人数が要りますもんね。実際作業をされて改めて気づいたことはありますか?」

園田「気づいたことは婚礼ダンスの多さ。ほぼ8割だったのではないでしょうか…」

--「8割! そういえば私の実家にも眠っています(苦笑)」

園田「昔ほど結婚式は派手ではないので、婚礼タンスも20年くらい前のものが多かったですね」

--「記念のものを捨てるのは勇気が要りますが、大橋さんの場合は『リユース』という形を取っているのが、気持ち的にもいいのではないですか?

園田「はい。独自のルートでフィリピンに送っています

--「思い出の品をどなたかに使ってもらえるのは嬉しいですね。作りもいいでしょうから海の向こうで活躍してくれてると思います」

お見積もりで訪問する中で、防災意識の高さを実感

不要品の見積もりをする業者
引用元:https://www.photo-ac.com/profile/2258030

--「ところで、ご依頼された方は、皆さんキャンペーンをご存知だったのでしょうか?」

園田「地域限定の情報誌でPRしたのですが、実際伺ってみると『大橋さんに頼もうと思ってたのよ~』とか『キャンペーンを待ってました』という声が多かったんですよ」

--「すでに認知度があったんですね」

園田「私たちは定期的にセミナーを開催しているのですが、中には2017年のセミナーに出席されて、その時から『頼むなら大橋さん』と決めてくださっていた方もいましたね」

--「そうなんですか!
引っ越しはもちろん、日々の整理が気軽にお願いできる=認知されているという証ですね」

園田「はい。ご相談いただいた方が100%ご依頼くださったのも、とても嬉しかったです」

--「園田さんは今年入社されたということですが、実際の業務で知った、新人さんならではのエピソードはありますか?」

園田「弊社では『見積もりだけに伺うのではない』『単なる不用品回収業者ではない』と考えているので、お見積りの際や作業の際、必ず何かしら、防災における役立つことをお伝えしようと思っているんです」

--「具体的にはどんなことを?」

園田「基本として必ずお伝えするのは

  1. 重いものは収納の下部に置く
  2. 枕元に大きな家具を置かない
  3. 避難経路を確保しておく

の3つです」

--「前回お話を伺った、防災の勉強をしている松下さんもおっしゃっていましたね」

園田「ええ。ところがほとんどのお宅がすでにされているんです。それに驚きました!」

--「情報を得ているだけでなくて実行されてる」

園田「そうなんです。さらに大きな家具を減らしておくことで、動線も確保できるということまでご存知なんですよ」

ーー「日々の啓蒙活動の賜物ですね」

園田「手前味噌ですがその通りで、キャンペーンと聞いたから片づけよう』ではなくて、『片づけたから処分しようという方ばかりでしたね」

ーー「お客様の層はどんな感じでしょうか」

園田「年齢層は高めで、大きな家具のみ自力でできないからというご依頼も多かったです」

ーー「なるほど。
では防災に関しては、なるべく大きな家具を減らし重いものは下に』『枕元に注意』『避難経路確保の3つを守れば大丈夫ですか?」

園田「それがそうとも限らないんです。
あるお宅で家具の量が多かったのですが、歩行が少し困難だったので『空間が狭いのでは?」と家具を減らす提案しようと思ったんです。
ところがお客様の行動をじっくり見てみると、一つひとつの家具を支えにしながら移動されていたんですね」

ーー「邪魔だと思っていた家具が、その方の動線に含まれていた

園田「ええ。人によっては動線をただ確保すればいいというものではないということは、大きな発見でしたね」

ーー「なるほど…私も想像がつきませんでした」

園田「高齢者の方の整理や引っ越しは、若い方とは異なります。
何かの配置がちょっと変わるだけで、生活しづらくなったり、精神的にも影響を及ぼす場合もあるんですよね

ーー「オートロックの解除がわからないとか、よかれと思って付けたセコムの設置ができないケースもありそうですね」

園田「あと、意外に危ないのが下駄箱作り付けではない大きなものだと、倒れた場合ドアが開かないんです」

ーー「それは危ないですね!
鉄則は守りつつ、家の設計や住み方により、その方に合ったご提案をすることが大切なんですね」

園田「それが私たちの仕事でもあり、私のやりがいになっています」

真の意味で「地域密着」を目指し暮らしやすさと防犯を追求

暮らしを楽しむ老夫婦

引用元:https://www.photo-ac.com/profile/43626

ーー「冒頭で園田さんは新入社員さんと伺いましたが、どのような経緯で入社されたのですか?」

園田「私は転職組で、20歳から20年以上違う業種で働いていましたが、年齢を重ねもっと地域に貢献したいと転職を考えていたんです。
ところがどの企業さんも『地域密着』といううたい文句を掲げていて、違いがわからない。
そんな時、大橋運輸だけは実際に地域のためになる活動をしていて、それが決め手となりました」

ーー「小学校での安全教育や、地元でのセミナーもされてますよね」

園田「ええ。私が一番心を動かされたのは『オオサンショウウオを守る会』の川清掃です」

ーー「失礼ながら、一切利益が出ない活動ですからね」

園田「それから私事なのですが、どの職場でも懸命に仕事をしてきたのですが、なぜか自信が持てない部分があって…。
そのことを社長に素直に話したところ『それも君の立派な実績じゃないか!』と言われ、ああ、全てが自分の経験なんだと認めてもらったのが嬉しかったんです」

ーー「自分の中の納得できない部分を、受け入れてもらえたような気がした」

園田「はい。私が言うのもなんですが、これからの企業にはチームワークと個の力が、同じように重要になると思います

ーー「今後はどのような目標がありますか?」

園田「研修などで先輩方の様子を見て感じたようにお客様お一人お一人の状況を見て、空気感を合わせて寄り添う提案をしていきたいですね。
同じ『引き取る』でも、処分と考える方もいるし、思い出のものだけれど仕方なく…と考える方もいらっしゃる今回のキャンペーンでもご主人の遺品をご依頼された方がいらして、とにかくじっくり話を聴いた次第です」

--「寄り添う気持ちは必要ですよね…」

園田「また、防災に関心の高い先輩の講義を受けて、防災や安全の奥深さを実感したので、より理解を深めた上で、わかりやすくかみ砕いて説明できるようにしたいですね」

ーー「少し情報を伺ったのですが、11月には『人生会議の日という新しいイベントもあるとか?」

園田「具体的には、エンディングノートを家族で書き、ライフプランを考えることを広めるイベントになります」

ーー「生前整理や遺品整理にも繋がる『老後の安全で快適な暮らし』へのご提案ですね。今後の詳しい情報をお待ちしています」

 

取材:「綴屋」ライター/増田有香(https://tsuzuriya.jp/