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「あれ、何だっけ?」は年齢のせい? 認知症と“加齢による物忘れ”の違いを知る┃0084地域健康プロジェクト

「さっき何を食べたっけ?」「人の名前が出てこない……」
誰にでも経験のある“物忘れ”。それが単なる加齢によるものなのか、それとも認知症のサインなのか――。
9月8日の健康セミナーでは、そんな身近なテーマを学ぶ講座を開催いたしました。講師を務めたのは、介護予防運動指導士やバランスボールインストラクターとして活動する前田浩代先生。介護・福祉の現場での経験に加え、認知症とともに暮らした祖母との実体験を交えながら、分かりやすく解説していただきました。
平均寿命と健康寿命、その差は?
講座ではまず、日本人の寿命について紹介されました。
最新のデータでは、平均寿命は男性81.4歳、女性87.3歳。一方、健康上の問題で日常生活が制限されず、自立して生活できる「健康寿命」は男性72.6歳、女性75.3歳です。
平均寿命と健康寿命には、男性で約8.8年、女性で約12年の差があります。
「長生き」だけでなく、健康な状態で長く暮らすことの大切さを、数字から考える機会となりました。
65歳以上の約3人に1人が認知機能に関わる症状
2022年の推計では、65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は12.3%。認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI)」は15.5%で、合わせると27.8%にのぼります。
つまり、約3人に1人が認知機能に関わる症状を抱えていることになります。
認知症は決して「自分には関係ない」問題ではありません。
「忘れたことを覚えている」なら加齢による物忘れ?
今回の講座で特に印象的だったのが、加齢による物忘れと認知症による記憶障害の違いです。
例えば、食事をしたことは覚えているけれど「何を食べたか思い出せない」のは、加齢による物忘れの特徴の一つ。
一方、認知症による記憶障害では、「食事をしたという体験そのもの」を忘れてしまうことがあります。
また、加齢による物忘れはヒントがあれば思い出せることがありますが、認知症ではヒントがあっても思い出せないことがあります。
「物忘れがある=認知症」ではなく、“どのように忘れているのか”を見ることが大切だと説明されました。
「ご飯、まだ食べてないよ」――祖母との実体験
講座をより身近なものにしたのが、前田先生自身の体験談です。
先生の祖母は認知症の診断を受け、10~15年ほど一緒に生活していたそうです。
祖父が亡くなった後、少しずつ生活や性格に変化が現れ、最初に目立ったのが「同じことを何度も言う・聞く」という症状でした。
特に多かったのが、
「ご飯、まだ食べてないよ」
という言葉。
一緒に食事をした直後でも、しばらくすると食事をしたこと自体を忘れてしまいます。
最初のうちは「さっき食べたよ」と伝えれば納得してもらえます。しかし症状が進むと、それだけでは納得できなくなります。
そこで家族は、残しておいた食器を見せたり、少量のおやつを用意したりするなど、祖母の気持ちを落ち着かせる工夫をしていたといいます。
また、「財布を盗まれた」と家族を疑う「物盗られ妄想」についても実体験を紹介。認知症の人の行動を「なぜそんなことをするの?」と考えるのではなく、本人から見えている世界を理解することの大切さが伝わるお話でした。
認知症予防のカギは「栄養・運動・つながり」
認知症に関わるリスク要因として、難聴、高血圧、肥満、飲酒なども紹介されました。
生活習慣を見直すことで、認知症のリスクを減らせる可能性があります。
先生が最後に挙げた大切なポイントは、
「栄養・運動・人とのつながり」
の3つ。
ウォーキングなどの有酸素運動に加え、バランスボールのように身体と頭を同時に使う活動も紹介されました。
「知ること」が、誰かに優しくできる一歩に
講座の最後には、冒頭に参加者が覚えた「スプーン・鉛筆・時計・ハサミ・鍵」の5つのイラストを思い出す体験も行われました。
これは認知症のテストの一例を体験するもので、「覚えていなかったから認知症」ということではなく、あくまでゲーム感覚で体験してほしいと先生は説明しました。
今回の講座を通して伝えられたのは、単に認知症を知識として学ぶことだけではありません。
認知症について知ることで、本人や家族に対して、より優しく接することができる。
認知症は、誰にでも起こる可能性があります。
だからこそ、自分のためだけではなく、家族や地域で暮らす誰かのためにも、正しい知識を持っておくことが大切です。
「忘れること」を怖がるだけではなく、まずは知ることから。
今回の講座は、これからの地域社会に必要となる「支え合い」について考える貴重な時間となりました。
健康を身近に感じられる地域づくりへ
今回の講座を通して、認知症や物忘れについて「知ること」の大切さを改めて感じる機会となりました。大橋運輸では、これからも地域の皆さまが健康について学び、気軽に人とつながれる場を大切にしながら、地域の健康課題の解決に向けた取り組みを続けてまいります。
また、毎月開催している運動教室や、健康に関する講座・交流の場として開設している「せと84ひろば」も、ぜひお気軽にご利用ください。日々の健康づくりや地域でのつながりを通して、皆さまと一緒に、いつまでも安心して暮らせる地域づくりを目指していきます。